【高校化学】 混合物とその分離法
今回は、高校化学(化学基礎)で学習する内容の一つである混合物と分離精製法について、見落としがちなポイント、理解しにくいと思われるところを解説したいと思います。
まずは混合物についてです。
教科書には、混合物の例として、空気と海水が取り上げられています。これらの物質がどんな純物質で構成されているか、そしてそれらの純物質がどんな割合になっているのかがグラフに示されていることが多いです。
グラフをきちんと確認しておかないと,知らないままになってしまいます。
乾燥空気に含まれる成分は,体積にして多いものから、
- 窒素 ②酸素、③アルゴン ④二酸化炭素・・・となっています。
それぞれ、約①78% ②21% ③0.93% ④0.04%・・・です。
空気に含まれる物質で1番多いものが酸素だと思っていた人、3番目に多いものが二酸化炭素だと思っていた人などいませんか?
アルゴンが窒素,酸素についで3番目に多いんですね。
次に混合物の分離法についてです。
教科書には、ろ過、蒸留、分留、再結晶、昇華、抽出、クロマトグラフィーという分離法が載っています。教科書に書いてある説明を読んでも納得いかず、そのままになっていたりしませんか?
①分留(分別蒸留)・・・蒸留の一種で,沸点の差を利用した分離法。
気をつけたいのが単に蒸留というときとの違いです。
分留は、比較的沸点の差が小さい液体混合物を分離するときの方法だということです。
- 再結晶・・・溶解度の差を利用した分離,精製法。
温度によって溶解度が大きく変化する物質と、温度によって溶解度があまり変化しない物質(少量)との混合物を分離するのに有効な方法。
このような混合物を、温度の高い溶媒に溶かした後、溶液を冷やします。すると、温度によって溶解度が大きく変化する物質は、溶解度が下がることによって溶けきれなくなり、溶けなくなった分が結晶となって析出してくるのです。(温度が下がっても溶解度が下がらない物質は析出しない。また、溶解度が下がっても、その溶解度より少ない少量の物質は析出しない。)
教科書にあるグラフ、表などの図に示されたことも問題に出ることがありますから、スルーしないように。分離法は名称,装置,操作を覚えなければいけませんが、そのまま覚えただけでは応用がききません。物質の性質の違いをどのように利用して分離可能となっているかなど、「理解」することを意識して勉強することをおすすめします。
専属教師 杉山 広徳