《 なるほど数学コラム:高校編 6》 『 積→和, 和→積 の公式は “ 導く!” 《 補足編 》』
このあいだ、
三角関数の「 積→和,和→積 」の公式の導き方
について一緒に考えましたが、
「先生、計算ちょっとはしょりすぎですよ~」
なんて声が聞こえてきました。
こないだのコラムでも説明しましたが、『 加法定理 』 を当てはめて計算すればよいだけなのですが…
「 でもちょっと…わからないんです… 」
わかりました。それでは、あらためていってみましょう。
加法定理から 積→和 の公式を導き出します。
《 加法定理 → 積和公式 》
sin(α+β) = sinαcosβ + cosαsinβ ・・・①
sin(α-β) = sinαcosβ – cosαsinβ ・・・②
cos(α+β) = cosαcosβ – sinαsinβ ・・・③
cos(α-β) = cosαcosβ + sinαsinβ ・・・④
①+②から
それぞれ加法定理展開して整理します。
sin(α+β) + sin(α-β) = sinαcosβ+ cosαsinβ+ sinαcosβ- cosαsinβ
= sinαcosβ+ sinαcosβ+ cosαsinβ- cosαsinβ
= 2sinαcosβ
よって、
sin(α+β) + sin(α-β) = 2sinαcosβ・・・(P) ←積和公式から和積公式への変換で使います。
両辺を入れ替えて
2sinαcosβ = sin(α+β) + sin(α-β)
両辺を2で割って、
sinαcosβ = 1/2{ sin(α+β) + sin(α-β) }
①-②から
それぞれ加法定理展開して整理します。
sin(α+β) – sin(α-β) = sinαcosβ+ cosαsinβ- ( sinαcosβ – cosαsinβ )
= sinαcosβ+ cosαsinβ- sinαcosβ + cosαsinβ
= sinαcosβ- sinαcosβ+ cosαsinβ + cosαsinβ
= 2cosαsinβ
よって、
sin(α+β) – sin(α-β) = 2cosαsinβ・・・(Q) ←積和公式から和積公式への変換で使います。
両辺を入れ替えて
2cosαsinβ = sin(α+β) – sin(α-β)
両辺を2で割って、
cosαsinβ = 1/2{ sin(α+β) – sin(α-β) }
③+④から
それぞれ加法定理展開して整理します。
cos(α+β) + cos(α-β) = cosαcosβ – sinαsinβ + cosαcosβ + sinαsinβ
= cosαcosβ + cosαcosβ – sinαsinβ + sinαsinβ
= 2cosαcosβ
よって、
cos(α+β) + cos(α-β) = 2cosαcosβ・・・(R) ←積和公式から和積公式への変換で使います。
両辺を入れ替えて
2cosαcosβ = cos(α+β) + cos(α-β)
両辺を2で割って、
cosαcosβ = 1/2{ cos(α+β) + cos(α-β) }
③-④から
それぞれ加法定理展開して整理します。
cos(α+β) – cos(α-β) = cosαcosβ – sinαsinβ – ( cosαcosβ + sinαsinβ)
= cosαcosβ – sinαsinβ – cosαcosβ – sinαsinβ)
= cosαcosβ – cosαcosβ – sinαsinβ – sinαsinβ
= – 2sinαcosβ
よって、
cos(α+β) – cos(α-β) = – 2sinαsinβ・・・(S) ←積和公式から和積公式への変換で使います。
両辺を入れ替えて
– 2sinαsinβ = cos(α+β) – cos(α-β)
両辺を -2で割って、
sinαsinβ = – 1/2{ cos(α+β) – cos(α-β) }
以上より、
《 積和公式 》
sinαcosβ = 1/2{sin(α+β) + sin(α-β)}
cosαsinβ = 1/2{sin(α+β) – sin(α-β)}
cosαcosβ = 1/2{cos(α+β) + cos(α-β)}
sinαsinβ = -1/2{cos(α+β) – cos(α-β)}
積和公式から 和→積 の公式を導き出します。
《 積和公式 → 和積公式 》
α+β = A,α-β = B とすると
α = A+B/2,β = A-B/2 となり、
(P)から
sin(α+β) + sin(α-β) = 2sinαcosβ・・・(P)
それぞれ置き換えて
sinA + sinB = 2sin(A+B/2)cos(A-B/2)
(Q)から
sin(α+β) – sin(α-β) = 2cosαsinβ・・・(Q)
それぞれ置き換えて
sinA – sinB = 2cos(A+B/2)sin(A-B/2)
(R)から
cos(α+β) + cos(α-β) = 2cosαcosβ・・・(R)
それぞれ置き換えて
cosA + cosB = 2cos(A+B/2)cos(A-B/2)
(S)から
cos(α+β) – cos(α-β) = – 2sinαsinβ・・・(S)
それぞれ置き換えて
cosA – cosB = -2sin(A+B/2)sin(A-B/2)
以上より、
《 和積公式 》
sinA + sinB = 2sin(A+B/2)cos(A-B/2)
sinA – sinB = 2cos(A+B/2)sin(A-B/2)
cosA + cosB = 2cos(A+B/2)cos(A-B/2)
cosA – cosB = -2sin(A+B/2)sin(A-B/2)
このようにして、公式を導き出すことができます。
繰り返しになりますが、公式を覚えようと努力するよりも、公式を導き出す練習を何度か繰り返すほうが、三角関数の演算能力も上がりますよ。
「 積→和,和→積 」の公式 を “導いて” 使う問題を沢山解き、得点源にしてしまいましょう!