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2021年度 福島県立高校入試分析「理科」

2021年3月3日に行われた福島県立高校入試「前期選抜試験」の「理科」について分析です。

 

【総評】

昨年同様小問集合問題は無く、大問1から大問8のすべてが実験・観察などについて書かれた文章を読んで設問に答える形式。

特に大問2と大問4は先生と生徒の会話文を読んで答える問題となった。

出題分野は、生物、地学、化学、物理の各分野から大問2題ずつで、例年通りかたよりの無い出題となっている。得点をのばすには各分野まんべんなく学習しておくことが重要であろう。

 

【大問1】

植物の蒸散についての出題。植物のつくりとはたらきについての知識が問われると同時に、実験に用いる試験紙の性質、役割も問われた。

最後の問題では、葉の裏側の蒸散量と表側の蒸散量とを実験結果から数値としてとらえる問題が出題された。

実験観察の問題が出されるということで、用いる器具や試薬、実験操作の意味などおろそかにせず学習をしておく必要がある。

また、実験結果から、実際の現象の何がどうわかるかということを意識して学習をしておくことが望ましい。

 

【大問2】

先生と生徒の会話を読んで答える問題。内容はヒトのからだについての出題。

神経と刺激の伝わり方、目のつき方、耳のつくりや反射、関節の動くしくみについての知識が問われた。

先生と生徒の会話文形式であるという点では、下線部の内容を、学習したことと対応させられるかが問われている。

この問題については、上にあげた理科の知識がしっかりしていれば、それほど高い読解力は必要なく、正答できただろう。

 

【大問3】

地震の観測についての問題。

(1)~(3)はそれぞれ断層、震度、地震の発生がきっかけとなって起こる現象の問題であるが、このあたりは与えられた図(観測結果の波形や表)を用いずに答えられる問題である。

この問題に限ったことではないが、実験観測結果の図表を使わなくても得点できる問題が出題されている。(4)は図や表からわかることを答える問題であるが、一般的に言えることでもあった。(5)は地震が発生した時刻を求める問題で、図や表から必要なことを読み取って計算しなければならない。

高い正答率も目指すにはこのような計算を必要とする問題にも、積極的に取り組んでおく必要がある。

 

【大問4】

天体に関する問題。

(1)、(2)は、生徒と先生の会話文の空欄にあてはまることを考える問題で、きちんと文章の内容を読む必要がある。テーマは日食であった。

(3)では地球の直径と太陽の直径の比を用いる問題が出題され、その比を覚えている必要があるものであった。(4)、(5)は緯度と南中高度の問題で、夏至と秋分の日の、地球と太陽の位置関係をふまえた計算、考察が必要。

 

【大問5】

銅とマグネシウムの酸化についての問題。酸化物の化学式、酸化による物質の色の変化、酸化物ができるときの金属と酸素の質量の比に関する問題など、定番的な問題といえる。

実験結果がどのようなことを表しているのかを問うような記述問題も出されている。

理解をすることに加えて表現力を養成することにも気を付けて勉強しておくとよい。

 

【大問6】

沈殿ができる反応と中和の問題。沈殿が生成する反応は限られているため、その化学反応式はきちんとかけるように覚えておきたい。

実験の問題であるから、中和ではBTB溶液やリトマス紙の性質は確実に覚えておかなければならない。

酸とアルカリが中和するときの量の関係は、比例の関係であるということも重要である。イオン式と、イオン式をふくんだ反応式も覚えるようにしておこう。

 

【大問7】

弦の振動と音についての問題。

音に関する問題であるが、マイクロホンのしくみにふれ、異なる単元で学習する電磁誘導という用語を答えさせる問題が出題されている。

電磁誘導がどういう現象であるかを知っていてきちんと問題文を読まないと出てこないものであろう。

その他は、弦の長さ、張り方やはじき方の強さと、音の高さ、振動数の関係を確認するような実験の問題である。これらの関係がきちんと頭に入っていると実験の記述を読む負担は減らすことができるだろう。

 

【大問8】

仕事についての問題。

仕事の原理、さらに、仕事率についての理解が問われる問題。仕事と同じ単位で表されるエネルギーにふれる問題もあった。(1)は力を図示する問題。日頃の学習で図をかいて考えることを心がけておきたい。図をかく問題は少なかったが、力に関する内容をあつかうとき、力を図示して考えるのはとても重要である。

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