時差と時差計算のしかたについて
社会の地理を指導しているとき、「時差と時差計算がよくわからない」という質問を受けました。時差が苦手という方は多いと思います。今回はその時差についてお話しようと思います。
時差とは
地球上で住んでいる場所によって時刻(現地時間)に差があることです。
例として日本の東京がお昼の12時のとき、アメリカのニューヨークは夜の10時になっています。
時差の計算
いくつか基礎的な知識を身につける必要があります。
まずは、世界の標準時刻は経度0度の本初子午線を通るイギリスのロンドンが基準になっていることを覚えましょう。そしてこの本初子午線より東側に行けば時間を進め、西側に行けば時間を戻します。東側の場所を東経~度、西側の場所を西経~度と呼びます。
この~度は15度ごとに1時間の時差が生まれます。日本は東経135度に位置しているので、イギリスロンドンとの時差は、135÷15=9により9時間、時刻としては日本のほうが9時間進んでいます。
例えばロンドンが夜の9時のとき、日本は9時間進んでいるので朝の6時になります。だから日本にいる人がロンドンにいる人に電話をしようとするときは、時差を考える必要があるわけです。逆もまた然りです。
ちなみにこの15度で1時間の時差というのは数学的見地からも求めることができます。
地球は球体ですから真上(真北)から、もしくは真下(真南)から見ると円形をしています。
円は一周360度です。地球はその360度を一日24時間かけて一周するので、1時間当たり何度ずつ動いているかと言えば、360÷24=15となり、1時間に15度ずつ動いていることになります。よって15度ごとに1時間の時差が生じるというわけです。
また経度180度付近には日付変更線というものもあり、この線を西から東にまたぐ場合は日付を1日戻し、東から西にまたぐ場合は日付を1日進めます。
時差と時差計算のまとめ
・本初子午線(経度0度)を通るイギリスのロンドンが世界時間の基準
・経度15度で1時間の時差が生まれ、東側なら時刻を進め、西側なら時刻を戻す
・日本は東経135度に位置しているため、ロンドンとの時差は9時間で9時間進んでいる
・日付変更線をまたぐときは、西から東へは1日日付を戻し、東から西へは1日進める
まずはこれらのことをしっかりと覚えるようにしましょう。
さて最後に、谷川俊太郎の「朝のリレー」という詩を紹介します。詩の前半部分を引用してみます。
「朝のリレー」
カムチャッカの若者が きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は 柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球で いつもどこかで朝がはじまっている
(「朝のリレー」 – 谷川俊太郎 より)
時差のことがわかるとこの詩の内容の素晴らしさがよく理解できますよね。とても素敵な詩で、個人的にはお気に入りの詩のひとつです。