2024年度 福島県立高校入試分析「社会」
2024年3月5日に行われた福島県立高校入試「前期選抜試験」の「社会」についての分析です。
総評
大問6つの構成は例年と変わらず。1と2が地理問題、3と4が歴史問題、5と6が公民問題であった。記述問題が大問ごとに一つずつあり、バランスも良かった。
大問1
世界地理問題。ユーラシア大陸の国々について、雨温図や穀物の生産量、宗教、日本との貿易額など、設問が多岐にわたる。記述問題は、中国の人口ピラミッドの変化について答えるものであったが、すんなり書けた受験生も多かったであろう。
大問2
日本地理問題。今年度は東北・北海道から出題された。福島県を直接問う設問はなかったが、東北・北海道ということで多くの受験生が正答しやすかったのではないかと予想される。記述問題も、与えられた地図を見て、栽培面積とその割合について書くだけなので、それほど難しくはないだろう。
大問3
古代から近世までの歴史問題。聖徳太子、藤原道長、御成敗式目、豊臣秀吉、アヘン戦争と幅広く出題された。踏み込んだ問題はなかったように見受けられ、基礎問題で構成されていた。
大問4
明治時代以降の歴史問題。明治以降は情報が増えてくるので難しくなる傾向にあるが、今年度はしっかりとした基礎的問題で構成されていた。記述問題も、日本における主権のあり方が戦前戦後でどう変わったかということと、法律を作るのはどの機関なのかという少し公民に踏み込んだ設問であった。良問であるといえよう。
大問5
経済に関する公民問題。設問3では、日本のエネルギー供給の割合の変化について問う問題が出された。東日本大震災の前と後での原子力とその他(太陽光、太陽熱、風力、バイオマスなど)の割合を考えれば、正答するのは容易であろう。記述問題は、消費税の持つ税負担について述べるものであった。累進課税の逆進性を理解できていれば、記述は可能であろう。
大問6
憲法や政治その他に関する公民問題。どの設問も各分野において重要かつ基本事項に終始していた。全問正解した受験生も少なくないであろう。記述穴埋め問題も、二酸化炭素の排出量に関するグラフを読み取り、穴埋めの前後の文章にあるヒントと合わせて書くようにすれば難しくはないと思われる。