「コミュニケーション」で子どもは変わる
過去に文部科学省が行った子供1000人に対するアンケートで、親や大人に言われてうれしい言葉は何ですか?という質問に対して、ダントツの1位、2位は次の言葉でした。
「あなたを信じている」「私はあなたの味方だから」
「大人が変われば子供も変わる」ことを、話し方の観点から考えてみようと思います。
1.「挨拶」次第で子どもは変わる
朝、出勤前の近所の人に「お早うございます」と言われたり、道を譲った人に「ありがとうございます。助かりました。」と言われたら大変気分が良いと思います。人間は元来、孤独な存在であるがために、人との交わりをつくるのが挨拶の役割であると言われています。挨拶という機能を活用しないと、人は孤立し、協力して物事を達成する力が衰えてしまうのです。大人の仕事とは、子供が社会に出て、人と協力して物事を成し遂げる力を身につけさせることです。では、子供にどのように促せば挨拶できるようになるのでしょうか。
☆ケース1 「挨拶ぐらいしなさい」と強要する前に
家に来客があり、子供がその場に居合わせた場合、親に①「こら、挨拶しなさい」「こんにちはぐらい言えないの」と言われるのと②「○○君、なんて言うんだっけ?」と気付かされるのと、どちらが挨拶できる子供を育てられるのでしょう。もちろん後者です。
2.答えは先出しせず「見出すまで」考えさせる
先回りしてあれこれ言うより、子供が自分からその気になるように、コミュニケーションの取り方を工夫するのも親や大人のつとめです。子供は自分で考え、工夫し、行動してこそうまくいった時の「やったぁ!」という喜びを味わえるのです。
☆ケース2 「勉強しなさい」と言わない
親なら誰しも、「勉強はしたのか」「宿題やったの」と口にしてしまいますが、顔をみるたびにこの言葉を発したのでは、子供は逃げ出したくなります。人間、不思議なもので、催促されるとやる気がしなくなります。子供が試験前に勉強をやろうと思った瞬間、
①「勉強やったの?早くやりなさいよ」
②「身体に悪いから今日はもう寝たら?」
何と②の方が自ら勉強する気になるというアンケート結果が出ています。更に②の言葉を発した後は、子「明日テストだから」 親「お茶でも入れようか?」 子「終わってからもらうよ」 親「へえ、偉いのね」と、できればこんなやりとりが理想です。
3.伸びる子の親はみな「聞き上手」
「聞く=受け身のコミュニケーション」というイメージが強いと思います。話を聞くためには、相手に話してもらわなければなりません。発信があって、「聞く」が成り立つのです。しかし、「待つ」という姿勢はなんの働きかけもないところでは生きてこないのです。こちらから働きかけ、ものが言い易い雰囲気や状況作りを、聞き手が行った上で「待つ」のです。
4.子どもをほめる時の「3つの心得」
・タイミングよくほめる ・具体的にほめる ・まわりを巻き込んでほめる
中でも2番目が有効です。どこがどのように良かったのか具体的に伝えると、情景が浮かんできて、相手もうれしくなります。
☆ケース3 「より具体性のある」ほめ方
相手の子供をほめる時、
①「お宅のお子さん、元気でいいですね」では具体性に欠けます。
②「お宅の○○君、昨日スーパーの前で何人かの友人と自転車を止めていて、ちょうど通りかかった私に気付いてくれて『○○さんのお母さん、こんにちは』って大きな声で挨拶してくれたんですよ。元気ないいお子さんですね」ならば、聞いた方はその場の情景が目に浮かんできて、非常にうれしくなります。
子供の良いところを探してあげることも大切ではないでしょうか。
新白河校 教務部 林 泰洋