とある授業風景
中学3年生のA君と出会ったのは秋でした。県立高校受験対策をしてほしいというお申し出でした。
事前に今まで勉強してきていないと聞いたので、1年生の1学期の英語の問題を解いてもらいました。
結果は10問中2問正解でした。その結果を見て、A君は、
「1年生の時なんて、全然勉強してなかったから~~~」
と言って、ニコニコしていました。
「この子は根っから明るい子なんだな」と私は思いました。
入試まで時間に限りはあるけれど、その明るさを生かして楽しく勉強を進めていこうと決めました。
A君にはそのやり方が合っていました。
苦手の社会の暗記は、3つ覚えたらほめる、また3つ覚えたらほめる、そして小テストで合格点が取れたらめちゃくちゃほめる。
これを繰り返しました。A君は、ほめられるともの凄く喜んで、暗記が楽しくてしようがなくなっていきました。
「先生、家でもここまでやってきた!確認テストやってー!!」と言うまでになりました。
勉強をやってこなかったと聞いていたので、すぐに「疲れた~、集中できない~」とかになってしまうのかな?と思っていたのですが、全然そうではありませんでした。
「先生、ここが分かんない。教えてください。」と、通塾して間もない頃にこのように質問してきました。
「学習意欲がたっぷりある~!」と感動しました!
でも、A君は成績についてはまだまだ不安がっていました。
「先生、あと何点で合格できる?」
「A君の行きたい高校に受かるには、これぐらい点数を上げたほうがいいね。」
「そうかぁ。何やれば上がる?」
「基本問題を確実に得点できるようにしましょう。」
「漢字もできたほうがいい?」
「そうだね。家でも毎日漢字練習しようね。」
それから、A君は毎日漢字を練習しました。漢字をていねいに書くようにアドバイスすると、素直に聞いて、漢字をていねいに書くようになりました。加えて、書き順にも気を付けるようになりました。
A君は自分の字が上手になって喜んでいました。「やれば、できる!」と自信がついてきたのが、目に見えてよく分かりました。
入塾して初めての学校のテストで、自己最高点をとることができました。A君と一緒に大喜びしました。
私からお父さまにお電話で報告しました。今回のテストで良かったところ、これからまた点数を上げるにはこのような勉強をするとよいですよと話しました。お父さまも点数が良かったことを喜んでくださり、A君の勉強で気になっているところやご希望を話してくれました。
私はご質問にお答えしながら、お父さまと目標を確認しあいました。
A君とご家族と私で、明るく楽しく目標に向かっていきました。行きたい高校に入るのが夢。その夢が叶うと思えば、楽しい気持ちになれますからね。
A君は、めでたく第一志望校に合格しました。
現在、高校生活をエンジョイしているとご報告を受けました。