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全国学力調査からみえる「これから求められる数学の力」

今年度も4月に小学6年生、中学3年生の全児童生徒を対象に全国学力調査が実施されました。

この調査の調査問題は、学習指導要領に示された数学科の目標及び内容に基づいて作成されていました。学習指導要領には、数学的に問題発見・解決する過程を学習過程に反映させることが重要であると述べられています。このことから、生徒が目的意識をもって数学的に問題発見・解決する過程を解答欄に書くように問題が作られていました。

中学3年生の数学の出題範囲は、中学1年生から中学2年生までで、「数と式」、「図形」、「関数」、「データの活用」の各領域からバランスよく出題されていました。各領域とも「知識・技能」を問う問題、「思考・判断・表現」を問う問題とが出されていました。

例えば、「2つの偶数の和」の問題では、構想を立てて説明し、統合的・発展的に考察することを求められました。

数に関する事象を考察する場面では、成り立ちそうな事柄を予想し、予想を確かめ、事柄が成り立つ理由について筋道を立てて考え説明できるかどうかをみられました。さらに、問題の条件を変えるなどして、統合的・発展的に考察する問題もありました。

実際に、6⃣ではどのように問題が出されたかみてみましょう。

6⃣ 康太さんは、2つの偶数の和がどのような場合に4の倍数になるかを調べています。
【数に関する事象を考察する場面】

2+2=4、4+4=8、6+6=12のように、同じ2つの偶数の場合、2つの偶数の和が4の倍数になっていることから、康太さんは次のように予想しました。

予想1; 同じ2つの偶数の和は、4の倍数になる。
【成り立ちそうな事柄を予想】

上の予想1がいつでも成り立つことは、次のように説明できます。

説明1; nを整数とすると、偶数は2nと表される。
同じ2つの偶数の和は、
2n+2n=4n
nは整数だから、4nは4の倍数である。
したがって、同じ2つの偶数の和は、4の倍数になる。
【予想を確かめ、事柄が成り立つ理由について筋道を立てて考え説明する】

この学習過程から、

(1) の問題では、具体的な事象の中の数量の関係を文字式で表したり、式の意味を読み取らせ、知識・技能を問う問題が出されました。

(2) の問題では、同じ2つの偶数の和のほかにも、どのような時に2つの偶数の和は4の倍数になるか予想を立て、目的に応じて式を変形したり、その意味を読み取ったりして、事柄が成り立つ理由を数学的な表現を用いて説明できるかどうかをみられました。

(3) の問題では、2つの偶数の和が4の倍数になるという結論が成り立つための前提を考え、新たな事柄を見い出し、説明することができるかどうかをみる問題でした。

このような数学的活動を通して、知識・技能を身につけ、思考力・判断力・表現力を養うことを生徒たちは求められています。生徒たちは、数学的楽しさや数学の良さを実感して粘り強く考え、数学を生活や学習に生かそうとする態度も必要になってきました。

新しい教科書は、単元の冒頭で、生徒たちが学習する内容に関しての問題意識を持つことができそうな工夫をしています。また、単元の終わりで、学んだことについて話し合ったり、プレゼンテーションを行ったりすることもあります。

これらは知識を習得するだけでなく、思考力・判断力・表現力を育むことをめざす学習指導要領の考えに沿ったものです。生徒たちの学び方が変わりました。

それから、統計的な内容が見直されました。社会生活において、データを収集して分析し、その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定したりすることが今後一層求められます。四分位範囲と箱ひげ図は、高校数学から移行してきた重要な単元です。

生徒たちが身につける力は変化していますが、知識の習得はますます重要になっています。知識が不足していると、比較したり、共通点を見つけたりといった「思考の土台」が広く強くなっていかないのです。
中学校での学習に学び残しやつまずきがあると、高校や大学での学びにも影響します。

周りの大人たちが生徒たちの学習状況をしっかり見守る大切さは、今後さらに高まっていくでしょう。

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