大学入試 総合型選抜の基礎知識
大学入試における「総合型選抜」は、いわゆるペーパーテストのみによらずに学生の個性や長所を評価し、多様な人材を確保するという目的において大きく発展してきました。
その選抜方法も、大学ごとに多岐にわたります。今回は、選抜方法や仕組みについてご紹介します。
【受験生の能力や意欲を多面的に評価】
総合型選抜は、2020年度まで「AO入試」とよばれていました。
出願において学校長の推薦を必要としません。
選考が多面的でじっくりと行われます。
【総合型選抜の出願条件など】
出願自体は、総合型選抜は9月1日以降という原則が定められています。
私立大の総合型選抜では、出願前の「事前登録」にあたるイベントを行うところが多くあります。
具体的には、志望理由書や入学後やりたいことを記入したエントリーシートの提出や面談、あるいは模擬講義に出席したうえでのレポート提出を求めるところもあります。こうした早期に行われるエントリーイベントを経てないと本出願に進めないところも多々あります。
その他にも、出願の条件に、
・調査書の評点
・特定の科目の履修
・指定した検定を取得
・コンクールでの入賞歴
・部活の大会の成績
・合格後入学を確約
などがありますので、志望する大学の条件を良く確認しておくことが大切です。
【総合型選抜の選抜方法】
概ね次の5パターンに分類されます。
① 書類審査(調査書、志望理由書など)+面接
② 書類審査+小論文(作文)+面接
③ 書類審査+学力試験+面接
④ 体験授業(セミナー)+書類審査+面接
⑤ エントリーシート
これらの選抜で、「大学や学部が求める人物像」と「受験生が大学で学びたいこと・やりたいこと」が一致しているかを見られます。また、口頭試問や小論文、プレゼンテーションなどを用いて、学力も判定材料となります。
【調査書は書類審査の基本データ】
調査書は、各教科・科目の学習記録をはじめ、出欠の記録や特別活動の記録、行動の特徴、部活動の実績、取得資格などが記されており、受験生の人物像やその高校生活の全体像を伝えることができる内容となっています。
【志望理由書は‘’その大学でなければいけない理由‘’を明確に】
志望理由書は、面接の資料にもなるため極めて重要です。
「なぜ、その大学を志望したのか?」
「なぜ、その学部を志望するのか?」
「大学に入った後、何を目指したいのか?」
などについて丁寧に書きましょう。
気を付けたいポイントは、「自分のことを知らない人に自分をわかってもらう」ということを意識して書くことです。
明確かつ、自分の言葉でわかりやすく書くことを意識しましょう。
【小論文は「問われたことに答える」のが重要】
小論文の作成の時に気をつけるのは、「問われたことに答えること」です。
当たり前のようですが、忘れてしまいがちです。
「課題文の作者の意見をまとめなさい」とあるのに、自分の意見を述べてしまう。
「あなたの意見を述べなさい」とあるのに、どこかのだれかの意見を書いてしまう。
このようなことはNGです。
また、誤字・脱字が多いと、内容は良くても大幅に減点されてしまうケースもあります。
採点者が読みやすい字を書くことも心がけましょう。
【面接は自分の思いを自分の言葉で伝える】
面接は、自分のことを自分の言葉で一所懸命伝えようとしているかどうかを見られます。
事前に、想定される質問や面接官にアピールしたいことなど、模擬面接で練習しましょう。
面接は、面接カード、調査書、志望理由書の内容に基づいて行われます。
自分の書いたことについて、何を聞かれても大丈夫なように準備しておきましょう。
【学力試験は共通テスト利用が増加傾向】
国公立大学では共通テストを課すタイプが増加傾向にあり、幅広い学力が求められます。
また、国公立大・私立大ともに、英検やTEAPなど英語外部検定試験の級やスコアを出願条件のひとつにしたり、総合評価に加点したりする大学が増えています。
【まとめ】
総合型選抜は、決して楽な入試ではなく、出願条件も選抜方法も多岐に渡るため、いかに早く情報を調べておくかが大切です。
また、志願理由書、面接では、いかに自分の考えを相手に分かりやすく伝えられるかがカギとなります。
「どうしてもその大学に入りたい!」という気持ちで臨んでください。