望ましい教育環境とは(言語コード論)
昨今、家庭内の教育環境の質が、子供の成績向上に大きな影響を与えることが注目されています。では、どういった教育環境が望ましいのでしょうか。1960年代までイギリスでは、統一的な共通の学校教育がすべての人に機会の平等を与える、と考えられていました。しかしイギリスのバジル・バーンスタインという社会学者は、家庭・学校などから得られる「言語コード」が子どもの発達に大きく影響を与えており、言語コードによって階級社会が補強されていると指摘しました。彼は言語コードを「暗黙のうちに習得される、認知や形式の統合原理」と規定しましたが、ややこしいので以下のようなやりとりを考えてみましょう。
●タイプ1
母A:出かけちゃだめよ
子A:なんで?
母A:いいからダメなの!親の言うことが聞けないの?
●タイプ2
母B:出かけちゃだめよ
子B:なんで?
母B:危ないでしょう?もう暗くなってるじゃない
バーンスタインはこうしたやり取りのうち、タイプ1を「限定コード」タイプ2を「精密コード」と分類しました。調査によると、イギリスの労働者階級はタイプ1、中産階級はタイプ2の家庭が多かったそうです。学校教育では、論理性や客観性が求められますから、タイプ1のような理由と結論が明確でない会話が行われる家庭では学校教育についていけなくなり、その結果階級は固定化されます。最近の中高生でも、「ヤベー」「マジ」「ビミョー」「フツー」だけで会話をする人がいると思いますが、これもその典型と言えるでしょう。これらの事例は単純化しすぎかもしれませんが、「思考を司る言語が豊か=生活の質が豊か」であると言えるのではないでしょうか。
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