英語力向上のためのCan-Doリスト
文部科学省より出された「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策」をご存知でしょうか。そのうちの提言1に「生徒に求められる英語力について、その達成状況把握・検証する」とあり、具体的施策については次のように記載されています。
①国は、諸外国の取組も参考にしながら、国として学習到達目標を「Can-Doリスト」の形で設定すること。
②中・高等学校は、学習到達目標を「Can-Doリスト」の形で設定・公表するとともにその達成状況を把握する。 (参考文献 文部科学省の「5つの提言」)
- Can-Doリストとは何か
『英語を使い具体的にどのようなことができるか』をリスト化したものを「Can-Doリスト」と呼びます。リスト化された項目は、○○は出来るが、▲▲は出来ないなどをチェックするものではありません。また、将来できていてほしい(=wish リスト)でもありません。
例えば、中学3年生では、have+過去分詞(現在完了形)を学習します。この文法表現を用いて、自分がしたことがある(経験)事柄について、文章を書くことが出来る。高校生においては、教科書の一章について、図を用いて表現できる。など様々に設定することができます。また、授業だけでなく、英検対策などのCan-Doリストを作成することもできます。
英検対策Can-Doリスト例
【聞くこと】
教科書準拠の音声CDと同程度の速さで話される身近なことに関する内容を理解できる。
1、 集合場所、乗り物の出発や到着時刻などの簡単なアナウンス
2、 簡単な道案内 (例: Go straight and turn left at the next corner. )
【話すこと】
身近な話題に関して、自分の考えや意見を5文または50語以上で話すことができる。
1、 自分の予定 (例: I’m going to meet my friends. )
2、 簡単な頼みごと (例: Can you open the window, please? )
【読むこと】
使用している教科書と同程度難易度の700語程度の英文を概ね理解することができる。
1、 伝記や童話など短くて簡単な読み物
2、 興味・関心のある話題についての簡単な読み物
【書くこと】
自分のことや調べたことについて5文または50語以上で書くことができる。
1、 簡単な自己紹介
2、 日記 など
- 見やすいCan-Doリストの作成例
上記のように、4技能別に分けて、
項目ごとに具体的な数値などを加えると、より明確なCan-Doリストが出来ます。また、学年別・学期別・単元別で作成すると、より効果が得られます。
(今回は学年別を例としました。)
- Can-Doリストのメリット
○○することができた、○○ができるということは、自己肯定感を養うことに大きく関係します。例えば、鉄棒が苦手な生徒が、逆上がりができた時の表情を想像していただければ分かるかと思います。次はもっと頑張ろうとやる気が出るだけではなく、できたことが自信となりパワーの源になります。明確な到達度目標とすることで生徒・教師が意欲的に指導に臨めるようになり、また指導計画表を合わせて活用するとスムーズな教育活動に繫がります。
自分の夢や将来について受動的な生徒が少なくない昨今、できることを増やすことは将来の方向性(学部・学科・就職)を早く見つける機会となります。また、「○○ができる」という学習到達度目標は、そのような生徒を変える一つの手段かもしれません。受動的な生徒から自発的な生徒になるために、Can-Doリストを活用してみてはいかがでしょうか。
郡山開成山校 教務部 佐藤 克浩